法人住民税の均等割の税率(額)区分は法人税法上の「資本金等の額」で決定していましたが、平成27年税制改正により、この判定基準に改正が入りました。
以下、中小企業向けに概略を説明します。本概略は私見ですから実務運用上は再度ご自身で確認してください。
法人税法上の「資本金等の額」は、資本の払戻し・自己株の取得・欠損填補に係る無償減資などの資本取引を行わない限り会計上(決算書上)の資本金と資本剰余金の合計と同じですが上記の資本取引を行うと会計上の資本金と資本剰余金の合計と異なることとなります。
平成27年税制改正は法人住民税均等割の税率区分判定の基準はあくまでも法人税法上の「資本金等の額」で変わらないが、
① 自己株の取得等により「資本金等の額」が会計上の資本金+資本準備金の合計額を下回る場合、会計上の資本金+資本準備金の合計額を法人住民税均等割の税率区分の基準とする。
② 欠損填補を目的として無償減資を行った場合、法人住民税均等割の基準である法人税法上の「資本金等の額」から欠損填補に充てるため無償減資を行った金額を控除した金額を法人住民税均等割の税率区分判定の基準とする。
というものです。
この改正により、自己株の取得等を行った場合、法人税法上の「資本金等の額」は減少しているけれども、会計上の資本金+資本準備金の合計額が減少していませんから、会計上の資本金+資本準備金の合計額を法人住民税均等割の税率区分の基準として判定をしなければならなくなり従来と比べて均等割の負担が増加する可能性があります。
逆に、欠損填補を目的として無償減資を行った場合、法人税法上の「資本金等の額」は減少しませんが、法人住民税均等割の税率区分の基準としては法人税法上の「資本金等の額」から欠損填補にあてた無償減資の額が控除できますから、通常は会計上の資本金+資本準備金で均等割の税率区分の判定を行うこととなり従来と比べて均等割りの負担が減少する可能性があります。
特に、自己株を取得している場合は負担が増加する可能性がありますから注意が必要です。