昨年末(平成27年12月)に自民党公明党より公表された税制改正大綱が正式に税制改正法案として国会で審議され、当該法案が国会を通過するのは例年ですと3月下旬ですから、まだ確定事項とは言えませんが、税制改正大綱で公表されている内容で、注意すべき事柄を少しづつ記載していきます。

法人税率が平成28年4月1日以後開始事業年度より23.4%(地方税等も含めた実効税率29.97%)となる(現行は25.5%、平成27年4月1日以後開始事業年度は23.9%、中小法人は措置法により15%)ことを受け、減少する税額の財源に充てるため、減価償却制度に若干の見直しが入りました。

平成28年4月1日以後に取得する「建物付属設備」と「構築物」について、定率法の適用が廃止され原則、定額法(鉱業用のものについては生産高比例法との選択)のみとされました。現行ではこれらの資産については定率法と定額法の選択(鉱業用のものについては生産高比例法の選択肢もあり)とされており、選択していない場合は定率法とされていました(法定償却方法)。しかし今後は原則定額法のみとなり、減価償却による費用化の鈍化がおこることになります。特に「建物付属設備」は中小法人においても比較的頻繁に発生する資産科目であり注意が必要です。以下、平成28年4月1日以後取得資産の減価償却方法の適用関係をまとめておきます。

建物→定額法のみ
建物付属設備→定額法のみ
構築物→定額法のみ
器具備品など上記以外の有形減価償却資産→定率法又は定額法(法定償却方法は定率法)
鉱業権をのぞく無形減価償却資産及び生物→定額法のみ
リース資産→リース期間定額法
*鉱業用のものは上記方法に生産高比例法の選択肢が加わる(法定償却方法は生産高比例法)